梅雨の時期らしい蒸し暑い日々が続いています。校舎横の駐輪場近くで咲く紫陽花は、藍、紺、青、青紫など微妙に色の違う花が互いに競い合うかのように咲き誇っています。紫陽花の花の色は、土壌などの条件によって変わると言われています。日本では青系の花をよく見かけますが、時が経つにつれて少しずつ変色していき、見る者の目を楽しませてくれるものもあります。紫陽花を生徒たちに例えると、土壌は地域や家庭・学校にあたるのではないでしょうか。豊かな土壌からたくさんの栄養を吸収し、梅雨空の下でも色鮮やかに咲く紫陽花のように、生徒が落ち着いた望ましい環境の中で自己を磨き、自分らしい輝きを放てるように育ってほしいと願っています。
さて、一学期末を間近にして先週末には期末テストを実施しました。明日2日には、関係の高校の先生方に来ていただき、高校説明会を開催する予定です。生徒には一所懸命に努力して学力を伸ばし、志望する進路を実現できるよう頑張ってほしいと心から願っています。保護者の皆さんにも御来校のうえ、お話を聞いていただけると嬉しく思います。
話は変わりますが、日本経済団体連合会の調査によりますと、企業が学生を採用するに当たって重視する能力として9年連続でコミュニケーション能力がトップに挙げられています。厚生省の若者就職支援でも、コミュニケーション能力の育成はその大きな柱となっています。
今の時代に、あるいはこれからの時代に必要とされるコミュニケーション能力とは、一体何でしょうか。例えば、楽しい学校生活を送るためにいじめや、キレるという問題行動を無くするような人間関係を形成する能力、社会に出てから最初に直面する世代間コミュニケーションの問題を克服する能力、国際社会を生き抜くための異文化コミュニケーション能力等々が考えられます。多様なコミュニケーション能力はいずれもこれからの時代を生きる生徒にとって身につけるべき重要な能力だと言えます。
本校生徒にも同様のことが言えますが、一般論として今の子どもたちは口頭によるコミュニケーション能力は不十分だと思います。特に、論理だった説明能力が不足していることなどもしばしば感じますし、大人に対する口の利き方を知らないのではないかと思うことも時折あります。一言の単語で話せば、自分の思いが相手に伝わっていると勝手に思い込んでいる節もあります。また、人の心を傷つける言葉を言っても、相手がどのように感じているのかを洞察する力が不十分だと思うこともあります。
コミュニケーションの基本は相手の話をしっかりと聴くこと、そして自分の考え・思いが相手に伝わるようにしっかりと話すこと、そうすれば対話が生まれ、そこにはじめて意思の疎通が図れます。その経験の積み重ねによって、コミュニケーション能力や人間関係形成能力は向上するものだと思います。
今、本校では生徒の言語能力を少しでも伸ばしたいという願いのもとに、言語活動の充実を考えた授業にも心がけるようにしています。親子の対話がある家庭の子どもは自然と表現力が育まれ、概してコミュニケーション能力が高いと言われることがあります。御家庭でも生徒の声に耳を傾けていただき、家族間の会話を心がけてくださると有り難いと思います。